iTMS Japanに関しての愚痴

守秘義務契約にサインしているので詳しいことは書けないんだけど、iTMSのUS本国版とヨーロッパ版に関してはAppleのやる気というか、とにかく音楽配信でナンバーワンになるんだという意気込みが感じられた。自分たちが申し込みしたのはインディー・レーベルの扱いをスタートしますというプレスリリースが出てすぐで、たぶん申し込みが殺到したと想像できるが、二ヶ月ほどでちゃんと契約書が送られてきた。その後、いろいろめんどくさい手続きがあったけども、極東のよくわからない弱小レーベルでも書類をクパチーノからDHLで送ってくるなんて(そのクーリエ封筒は記念に取っておこうかとすら思った)、メジャーと分け隔てないきちんとした扱いなんじゃないかと感じられた。そもそも、一番顧客がいそうな日本からは日本のレーベルの曲は落とせないわけで、「日本からの申請は受け付けない」って一律につっぱねたほうがよっぽど楽だし理にかなってると思うし。

先日スタートしたiTMS Japanは、現状ソニーが参加していないことばかりが取り沙汰されているけども、実際のところメジャー以外の窓口は3つしかなく*1、それらの会社に“ショバ代”払って登録やエンコードを代行してもらうしか入り込む余地がない。セレクションにムラがあるように感じられるのはそういうわけなのだ。
日本の音楽業界の特殊事情やJASRACとの交渉が壁になってこれだけスタートが遅れてしまったという現実を考えると、本国のやり方では通用しないっていうことで日本人による日本流のビジネスに任せるという判断をAppleがしたのは致し方ない。でも、JASRACが延々とやってきたようなメジャーや人気作家、もしくはヒット曲を多数もつ大手出版社だけを優遇しまくりな態度(それ以外にはイジメかというような冷淡な扱い)だったり、結婚するにも借金するにもカード作るのも子供を学校に入れるのも家借りるのも、とにかく名前の通った大企業の看板があれば本人がどんなダメ人間でもOKという意味のわからない慣習がそのまま引き継がれてしまったようで、なんだかとっても切ない。
最終的にはMaciPodが売れてくれればいいというのがAppleの本音だとしても、iTMSの運営スタンスには、ディズニーにケンカ売ったりピクサーで儲かってるから給料要らないよと言ってしまうジョブズの精神が宿ってると思っていたのになぁ。

悪あがきだとしても、仕方ないからショバ代払ってやるかという気分になんて到底なれない。っていうか、他の国では全部配信されているのに、自分の国だけ蚊帳の外ってありえなくねぇ?

*1:現状契約している会社は2つでした

補足

反応のでかさにビックリ。夏風邪ひいて熱あるようなんだけど某マガジンの原稿を仕上げにゃならず、ちょうどいいところで4日間で100万曲達成!というニュースがあったので、やはりiTMSのことを薄くまとめました。
リファラー辿っていろいろ読んでみたところ、上で書いたようなアリゲーターだかアグリゲーターだかという中間搾取ビジネスは別に存在価値ありじゃない?という意見の方も結構いて、まぁ当然です。「エンコード? AAC? なにそれ」というレーベルもたくさんあるはずでそんな方々がスムースに配信できるようにって意味でもね。
でも、自分らで全部やりたいなと申し出ても道がないって現状に、他国と比べて一貫性がないと言ってるわけで、それはアグリさんが要るか要らないかという話じゃない。考えてもみてください、今後第二第三の松崎しげるが出てこないとも限らない。通常ルートでは考えられなかったような曲が売れる・買えるというのがiTMSの良さでしょ? 誰だかよく知らないひとたちに上前はねられるのはなぁ…。
10000曲以下のカタログしかないところは、事前にアイチューンズ(株)さんに某かの手数料を払えっていうようなシステムのほうが、納得できるかも。