ゲロッパ!

JBことジェームス・ブラウンの訃報よりも、そのことに触れて「James Brown Is Dead」に言及してる日記やブログがあまりにも多いことに不思議な感じを覚えてしまった。ご存じない方のために説明すると、「James Brown Is Dead」というのは、1991年のL.A. Styleのヒット曲で、出た当時はハードコア・テクノ(もしくはノビー・宇野風に“デス・テクノ”)の代名詞としてもてはやされ、その後、ジュリアナ東京でもかかりまくる曲になって、たぶん同名のコンピCDのCMでも流れるような曲になった。
http://www.youtube.com/watch?v=cr_6q9DcSiM
今聞くと、ハードでもコアでもデスでもテクノでもない、ただのチャラい4つ打ちラップなんだけどね。
たぶんこの曲の出生って、JBに代表されるような汗臭いファンクを否定してこれからはこういう過剰な電子音楽がダンスを支配するんだって宣言なのだ!と勝手に思っていたんだけど、作者のDenzil SlemmingがLA滞在中に遊びに行ったバーで酔っぱらいが「ジェームス・ブラウンが死んだんだぜ!」ってしきりに言ってるのを聞いて着想し、そのフレーズをフックにして曲に仕上げただけだったのだと……。15年経って知る事実にがっかり。
そういえば、つい最近出たシュランツのブートもので、この曲がネタになってるみたい。

ドイツ発信の大人気「Schranz」シリーズ53番は、ハードコア・テクノの代表曲"James Brown Is Dead"をリメイクした盛り上がり確実のハード・トラック!下っ腹に響く激硬派なビート・トラックに、90年代初頭に全世界を圧倒したボイス・サンプリングと思わず身体が反応するオールドスクールなシンセ・リフが鳴り響き、クラウド達を驚喜乱舞させる強力ヴァイナル!!

って、いやこりゃスゲーな(笑)。53番…
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あ、それでね、JBには失礼かもしれないけど、彼の全盛期に聴いてたわけでもないし年齢的にはギリギリ「Living In America」がリアルタイムってくらいで、気づいたときにはすでに彼の存在はおもろくてやばくて変なおっさんでしかなかったわけですよ。伝説とか神とかってより、コミカルなイメージですよ。そういう、ちょっとフィルター通してジェームス・ブラウンやもっと広く興行の世界ってモンを描写した井筒和幸監督の『ゲロッパ!』がまた見たくなってしまった。正直あの映画自体はオチ前あたりから「え〜?」という展開で、最後の最後まで冗長ないらんもんがついてくる、まとめに失敗した典型的な作品だと思うのよ(そーゆー意味では『パッチギ!』でリベンジを果たしているが)。しかし、そのへたくそな感じ含めて西田敏行のキャラに全部収斂されていくと、なんか許せるような気がしてしまう。つーか、あの西田敏行のステージのためにこの映画はあるというかね。
なんで、『虎の門』あたりで、井筒監督と西田敏行呼んで延々JBについて副音声+小画面で語らせながら『ゲロッパ!』を流す的な企画やってくれたら、ぜったい見るのに。
youtubeJames Brownを検索すると、みなさん追悼だの冷やかしだので、ものすごい数のビデオをみて、コメントをポストしているんだよね。それこそ、上記のL.A. Styleのクリップにすらね。昔からテレビだと、著名な役者さんや監督が亡くなったりすると、深夜に特別編成で関連作品放送したりしていたじゃないですか。でも、それだけじゃ追いつかないし、見たいものもひとによって違うだろうし、岸田今日子が亡くなったからと言って、いきなり『ムーミン』や『みなさんのおかげです』や『犬神家の一族』をパッと流せるわけじゃないし。ひとが死んだときにそういうことを改めて考えるっていうのもどうかと思うけど、日々変わっていく視聴者の欲求にすぐに対応できるように、有料でもいいから、ネットで過去の映像がアーカイヴされていつでもだれでも簡単に見られるというのは早急に必要になってくるんじゃないかなぁ。別にデジタルリマスターとか必要ないんだよね。記憶を補強し反芻するためのものでしかないから。保存や繰り返し視聴するというような目的には、全然別のメディアを欲する全然別の層がいるはずなので。


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James Brown Is Dead
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