ヲタ向け映画のマーケティング

用があって渋谷に行ったあと、ちょっと時間があったので昨日から公開された『ゼブラーマン』を観た。B級感たっぷりの作品だしレンタルでいいかなぁと思ってたんだけど、先日テレビでちょろっと特集を観てあまりにおもしろそうだったので。よく考えたら、今年初めて劇場で映画観たのかも。

劇場入る前は引くかもなぁぐらいの覚悟をしていったのに、どちらかと言えばこじゃれたシネセゾンとかシネマライズっぽい客層でちょっとびっくり。哀川ヲタ・三池ヲタ・宮藤ヲタ・特撮ヲタが入り乱れた怪獣大戦争みたいな様相じゃないんだもん。

(以下ネタバレ含む 映画これから観るつもりの人は注意)

作品自体は破綻もたくさんだし、特に後半はどうなんだろう…って感じなんだけど、意外に悪い印象はなかった。かなりサイコーなオープニングからテレビ版『ゼブラーマン』脚本にすべての事件がもう書いてあった!っていう辺りまではすごい面白かったからなぁ。いやなんとなくオマージュ的な必然性はわかるんだけど、なんで最後に巨大化した敵と戦うことにしちゃったのかなぁ…。屋上から飛び降りさせるため? うーん、何か他に手はなかったんだろうか。『木更津キャッツアイ』でもやってたし、正直「え、また?」って思ってしまったんだよね。家族の姿を描いた作品としてはよくできてるからもったいない。

観終わったあとにロビーに出たら、パンフはもちろんグッズも結構買ってるひとがいて、800円のゼブラーマスクなんて誰が買うのかと入るときに思っていたのに売り切れてるし、あぁ、オタクの悪ノリですよっていうことをちゃんと打ち出せばそれを受け止めてくれるひとは結構いるんだなと感じた。初期の『踊る大捜査線』も本広監督以下そんな感じで突っ走っていたと思うし、『木更津…』だってそう。『ゼブラーマン』が作品としてそういう成功に至る質を持ってるかというのは疑問だけど、鈴木京香ゼブラーナースをやらせた上にステキと思わせ、あの情けない着ぐるみの哀川翔をカッコイイと思わせるだけの力業は持っているからね。で、野郎ばかりかというと半ば無理矢理連れてこられたのかもしれないけど結構な割合で女性客もいたし、『デビルマン』とか『キューティーハニー』よりよっぽど一般性を持ちうる可能性すら感じた。

これから公開されるアニメ大作やオタクちっくな邦画は、大抵女性客に媚びを売る方向で“なんとなくオシャレかも”イメージを打ちだそうと躍起になってる印象を受ける。いや、印象だけじゃなくて実際そういうマーケティングがなされているんだけど、それって本当に正解なんでしょうかねぇ。まぁ実写と違ってアニメは若手イケメン俳優とかの出演で客を呼ぶなんてことはできないし、「アニメぇ?」っていう偏見を打ち砕くところからやってかないとどうしょうもないっていうのは事実なんだけどもさ。

大塚ギチじゃないけど、日本のオタクはなめられているんじゃないのか。