出版不況って深刻っすか?

ビックリした。
表紙のイメージとタイトルの語感だけでちょっと気になっていた小説が文庫になっていたんで、移動中に読もうかと思って買ったのね。
それがコレ↓

リアル鬼ごっこ
リアル鬼ごっこ

あ、アマゾンのアソシエイト・プログラム、ずっと以前に申し込んでいたのに使うの忘れてたので実験を兼ねて貼ってみた。コレは文庫版じゃなく先に出た文芸社という自費出版に近いスタイルで本を出す会社から出たもの。注目して欲しいのは、136件もあるカスタマーレビュー。ほとんど罵詈雑言に近い酷評がずらり。近頃ここまで貶される作品って珍しいし、それが逆に注目を集めてしまったのかという感じもある。
でね、このひどい言われようの小説が、20万部以上売れてるんだって。で、今回文庫版を出したのは天下の幻冬舎ですよ。同じ著者の近刊を見たら、角川からも出てるし。『Deep Love』が本読む習慣のなかった中高生を中心に爆発的に売れたというのはなんとなく現象として理解できるんだけど、コレがそんなに売れるっていうのは、一体どういうことなんだろう。

巻末のダ・ヴィンチ編集長氏が語る歯の浮くようなお褒めのコトバによれば、メジャー出版社から出たわけでもないこの本は、書店員の地道なPRとか口コミで、普段は本を読まない層に売れていったんだそう。

トンデモ本の世界S
にまで文芸代表として紹介されているらしいけど、20万−2割の16万人くらいは本気でコレがイイと思って買ったり友達に勧めたりしたんだとしたら、すごいことなんじゃないのかと。1冊当たり100万部は優に売れてる『HUNTER X HUNTER』ってアニメ化もされたマンガがあるんですよ。こいつの引きと寄せ(もしくは残虐描写とベタな友情の調合)の塩梅や、ゲーム的な厳格なルールに支配される箱を最初に作ってその中で物語を展開させる手法の巧みさにおいて小学生からオトナまで魅了するその手法は洗練の域にまで達してると思う。まぁ別に前例は『バトル・ロワイヤル』でも、キングの『バトルランナー』でもいいんだけど、累計3500万部とか売れてる化け物的な作品が、実は世間に及ぼす影響においてほとんど無力であるという現実の前には、肩のあたりから力が抜けてくような感じを覚えてしまう。

なりふりかまってられないってことなんだろうか。『13歳のハローワーク』あんだけ売れてるのに? 札束刷ってるようなもんじゃないの?