back in work

今日からノーマルモードに復帰。
しかし振り返ってみても、この3週間ほどは異常な状況だった。ありえないけども、気分的には3週間で3ヶ月分くらいの仕事をこなした感じ。ロンドンにいるあいだはずっとスタジオと部屋にこもっていたのでもちろん、その前の準備期間も含め、テレビや新聞をチェックするという暇すらなかったので、完全に世間のニュースだとかから置いてきぼりになっている。で、スポッとそういう時事的なことが抜け落ちてしまうと、いつも中毒的に追いかけているニュースだとか情報が、ほんとどうでもいいことに思えてくるから不思議。このままどんどん隠遁的な精神状態に入っていったらどうしようとかも思うわけだけど、なんか確実に自分の中のスイッチが切り替わってしまっているのを今回のロンドンへの旅で感じた。
週末にもガンガン仕事が続いていて、たまたま土曜の夜〜深夜に街に出ることがあったんだけど、地下鉄乗ったり通りを歩いていて「なんでこんなにひとが多いんだろう」とか思っているのね。ウィークエンドだから当然なんだけど、そんなことも忘れていて。クラブの前通ると、音が漏れ聞こえてきて、待ちきれないという感じで列を作ってるワカモノたちなんかを目にしてもちっとも羨ましいとか思えない。以前だったら無理に時間を作ってでも通ったレコード屋とかブティックとか本屋とかも、一度も行かなかったし。
ものすごくせっぱ詰まった状況で興味の対象がとてつもなく狭まっていた(とにかく一日に一回くらいはまともな食事がしたいとか風呂に入りたいとかまとまった睡眠時間が欲しいとか、そういう生きていく上で切実なこと)から、当たり前なんだけど、それ以上に、どんなモノでもほとんど家にいながらにして手に入ってしまうという状況が加速されている現在では、その場でしか会えない人と話をするというのが一番プライオリティーが上がっていて、実際、普段では絶対接することのないスタジオのエンジニアだとか、ロンドンでの仕事を通して知りあった現地の人たちとの会話はものすごく実りがあって、楽しかった。
まぁ現実的にはありえないんだけども、このままこっちに住んでこうやって英語で仕事してくのも悪くないかなとか思ったりも。東京にいる状況と単純比較はできないとは言え、(その状況下での自分は)ガイジンだからって開き直れる部分もあるし、実際英語で話してる方が楽なんだよね、恐ろしいことに。日本にいても、すごく近い人間からは、お前はガイジン(思想がかなりの割合西洋化され、もしくはコスモポリタン的すぎて、ついていけない)だと言われる。英語で喋っているときの西洋化された性格のほうが、生きていく上ではラクチンで、だんだん忘れかけていた自分のガイジンサイドが日本人的遠慮や気遣いを駆逐して、楽になっていくのがたった一週間でもわかった。東京では無理して生きているんだなぁとか。だからって、ずっと向こうにいたら、滞在者ではなく、今度は生活者として見られるようになるわけで、俺の性格から考えたら、現地人と同等にいろんなことができるようになりたいって感じるようになって(つまり「あいつはガイジンだから」という自分に対する言い訳が我慢できなくなって)ストレスにつながるんだろう。

まぁとにかくいろんなことを考えさせられた非常に有意義な旅でした。関わったすべての人に感謝の気持ちでいっぱいです。