シモキタ愚連隊

レコーディングの立ち会いという名目で実質的にはほとんどなんにもやってないといういかにもな数時間を過ごして、その後どうせ終電もなくなってしまったし、朝からなんにも口にしてなかったので食事できる店を探してぶらぶらと下北を歩き回る。

途中で深夜までやってるリサイクル書店(ブックオフではない)に寄って、なかなか全巻揃いでお目にかかることがなかった古谷実の『ヒミズ』4巻セットを棚の一番上の方からやけにハキハキした店員に下ろしてもらって買う。

日曜だったからなのか、ひとりで入れて酒飲まなくてすみそうな店はぜんぜん見つからなくて、<ZOO>に通っていたころに毎週始発待ちをしていたブーフーウーが、未だに健在なのを発見しフラフラ入りそうになったものの、さすがに15年も遡って感傷に浸ることもなかろうよって思いとどまり、なんだかよくわからないうらぶれた中華料理屋に入って結局ジョッキでビールを飲む。ジョッキ片手に『ヒミズ』を読む。

あんまり雑音を気にしないようにしようと思ったんだけど、どうしてもギターケース抱えた連中のことが気になってしまい、マンガはあんまり頭に入ってこなかった。

それって単なる人種差別的な発想じゃんと我ながら呆れかえってしまったんだけど、この晩はホントにギター抱えた小僧たちがウザったらしくてしょうがなかった。目が腐ってる、話が腐ってる、きっとやってる音楽も腐ってるんだろう、とか。反面、バンドごっこをやってた若かりし自分も、あんな言動を繰り返していたんだろうかって思い出そうとしても思い出せなかったり。

ようやく家に帰って、一気に『ヒミズ』を読み終わって、夢ってなんだとか普通ってなんだとか今になってようやく深く突き刺さるテーマに悶々として、それで最後に地獄に突き落とされて救いようもないくら〜い気持ちになって、さらに悪魔からのコールのような午前4時の重すぎる電話で現実的な底の底に突き落とされて、魔の日曜は終わることなく曙を迎えてしまったのだった。

古谷実『ヒミズ』ヒミズ 2 (2)