『Rubber Johnny』はリアクションに困る映画

映画? 映画なのかな。クリス・カニンガムのたった5分のショート・フィルム。夜中、ライズXで試写会があったので時間をやりくりして15分前から並んで観た。小さい会場には入りきらないくらいのひとが押し寄せ立ち見も出る盛況。主宰者側から挨拶があって、これにはやんやの拍手も起きる躁っぽいスタートにもかかわらず、上映が終わるとシーンとした会場がちょっと異様。ほどなくして少しずつ控え目な笑い声とかぼそぼそとした会話が聞こえてくる。既に公開されている画像はかなりグロく(下のパッケージのものは一番ソフトなほう)、あれが動き回ったらどうしようという本能的な不安があったのだが、本編にはあそこまで異様な造形のキャラは登場しない。いずれにしても異形な主人公ジョニーが暗闇の地下室でエイフェックス・ツインにあわせて踊りまくるという、ただそれだけの映像なんだけど、例のスクエア・プッシャーの放送禁止PVなんかと比べても数倍トラウマになりそうな奇天烈な映像が悪夢のように疾走する。エンドクレジットではかなりの数のインフェルノ・アーティストが記されていたから、相当な量のポスプロで映像がコントロールされているのは間違いない。特に縦方向の動きがきもちわるさを通り越して笑いを誘う(テーマ的には、『バスケットケース』みたいな悲話なのかと思ってたんだけど)という相当シュールな世界。繰り返し見るような作品じゃないなぁと思う一方、スローやコマ送りでゆっくりいたぶられるように何度も確認したいというアンビバレントな気持ち。残念なのは、DVDはスローにしたら音が出ないこと。あのエイフェックスの曲をスローで再生したら相当きもちわるいだろうに。

Chris Cunningham / Rubber Johnny