安静時に観た映画

というわけで、日がな一日DVDを観て過ごしました。
アレックス・ガーランド原作ということで気になっていた『テッセラクト』と、ジャン=ピエール・ジュネの新作『ロング・エンゲージメント』。

テッセラクト』は、相変わらずタイの安宿が舞台でドラッグを巡って血で血を洗う抗争が…という、単なるトラベラー崩れの面目躍如な設定。香港出身の監督、オキサイド・パンは、前作『THE EYE』が、ジャパニーズ・ホラー的な世界を模倣したこけおどし映画かと思いきや、『いま、会いにゆきます』や『黄泉がえり』的な恋愛+心霊なテーマをややノスタルジックな風景に重ねて描写し、最後にはシャマランばりの「ええぇぇえ?」と声が出るド派手な展開で終わるというびっくり箱な作りだったので期待も大きかった。
スタイリッシュな映像やフィルムから感じるタイの空気感は、ダニー・ボイルのそれを遙かに凌駕しているんだけども、どうも考えすぎたような凝った作りに固執して空回りした感じ。ひとつの事件を関わった人物それぞれの視点で時間軸をいったりきたりしながら描写する、そしてそれを“四次元”と呼んでいるのがこの作品の肝。そこを否定しちゃうと元も子もないのに、どうもそれが原因で冗長な印象になっている。いや、似たようなアイデアだけど、これなら『木更津キャッツアイ』のほうがよっぽどうまく処理していたぜと。
しかし、メイキングでしゃべってるパン監督のものすごい訛りっぷりには驚いた。よくこれでイギリス人に演技つけたりできんなぁなんて。

テッセラクト
テッセラクト

ロング・エンゲージメント』は、これもまんま『アメリ』なんだよね。オドレィ・トトウが出てるからってことでなく、小ネタから全体の構成までそっくり。ただ、薬飲んでいたとか疲れていたとかの要因からかもしれないが、多すぎる登場人物と聞いて理解できないフランス語に、とちゅう何度も眠りかけた。前半は小気味よく世界に引き込まれるのに、中盤以降がダラダラに感じて。もう一度ストーリーを理解した上で観れば、印象変わってくるかもしれないが。そもそも一途な恋心みたいなものに全然興味がない、というのも原因のひとつだろうか。

ロング・エンゲージメント
ロング・エンゲージメント