聖誕祭の夜に

クリスマスなんて無くなればいいのに、といつも思う。
自分の誕生日が24日で、「すごいね、めでたいね!」みたいなことを必ず言われるけれど、いい思いをしたことも人一倍祝ってもらったためしも生まれてこのかたない。イルミネーションだとかショッピングを煽る広告だとか、そんな資本主義的クリスマスが盛り上がると自分の気持ちは沈んでいく。
どこへ行っても混んでるから、例年家で過ごしていたんだけど、今年は和食屋で外食して帰りに通りがかったサレジオ教会でミサに参加してみた。12月になると電飾と厩の模型が飾られてずっと気になっていて、でもなかなかチャンスがなくて、6年も近所に住んでいて初めて教会自体に足を踏み入れることができたわけだ。
遠方からわざわざ来るひともいるようで、全員が着席できないほど混雑していて、こんなにクリスチャンがいるんだろうかと驚いたけど、半分くらいは単にクリスマス気分を味わいたいってだけの冷やかしなんだろう。神父の説教でも、途中で「この時期になると問い合わせの電話がたくさん来ます。今日も、“サレジオ教会はなんかやってくれるんですか?”というようなふざけた電話がありました」というようなことを言ってたし。神父は外国人で、流暢なんだけど少し発音がおかしい日本語でこんな話をするもんだから、不謹慎にもちょっと笑ってしまった。もっと全体的にこーゆーフランクなノリを出せばいいのに、なんて思って。
粛々と進行するどう考えても偽善的で時代錯誤なカトリックの儀式にはついていけず、キリスト教系だった幼稚園以来の信仰の集いにうろたえながらも、荘厳な雰囲気の会場に響くパイプオルガンの音と美しい聖歌隊の歌声は、いろんな些事を洗い流してくれるようで気持ちよかった。途中からは自分でも合唱に加わってしまったり。
自分はおそらく一生信仰心は持たないと思うけれど、今どきのファッションをした若いひとたちや小中学生と思われる子供らにもかなりの数の熱心な信者がいて驚きだったし、人類が築いたもっとも強靱な物語の世界を垣間見れたことは感慨深いものがあった。ミサ自体は正直一度でお腹いっぱいという気分ではあったが、繰り返し聞かされて自分の根っこに染みついているというわけでもないのに賛美歌があんなにも心に訴えるのはなぜなんだろうとしばらく考えてしまった。それと、出口でシスターに「クリスマスおめでとう」と声をかけられたのがよかった。いつも澱のようにたまっていくもやもやした気持ちをスッと浄化してくれたような。

あ、今iTunesラジオのHoliday>Xmas in FriscoでThe Pogues + Kirsty MacColl / Fairytale Of New Yorkが… 泣けるよなぁ、この曲。

If I Should Fall from Grace With God
If I Should Fall from Grace With God