フランクフルトの伝説のひとり、Mark Spoon死去

新年一発目で書くことが死の報で、しかも13日の金曜日…なんてこった。

昨晩卓球からメールがあって珍しいなと思ったら一言、亡くなったと。10年前でも既に十分すぎる貫禄を持っていたから、まだ39歳だったとは信じられない。若かったんだなぁ(一部報道では41歳となっていたけども、66年生まれなので間違い)。

Casper Poundが亡くなったというのもすごくショックだったけど、ジャーマン・トランスに身も心も捧げていた92〜3年の音楽のことを振り返ると、Age Of LoveやJam & Spoonの「Stella」、それに「Follow Me」が何度も何度も繰り返し鳴り響いていたことは間違いなく、あの時代、MikさんのセットもYO*Cのセットも、FarringdonのTurnmillsも芝浦のGoldも、彼らの音で満たされた幸福で眩い瞬間があった。

Mark Spoonはドイツでメジャーヒットを放っていたときに来日したことがあって、着くなり日本のレコード会社に成田から移動するのにヘリを要求したとか、ホテルが気に入らず東京中の部屋をリムジンで見て回ったとか、すごい伝説を作った。実際に話したら結構気さくなひとだったけども、地に足のついた感じのひとが多いテクノ業界において芸能っぽいニオイをあそこまでプンプンさせていたのは後にも先にも彼だけだったように感じる。

どんどんひとが増えてイケイケだった時代のLove Paradeに、ベルリンに負けじとフランクフルトから乗り込む派手派手なトラックでは、いつもSvenがDJで彼が何故かマイクを片手にMCをやっていた。それに、不思議と規模の大きなレイヴではいつもヘッドライナー的に名前が載っていた。特にいいDJだと思ったこともないし、ずっとヒットを出し続けたわけでもないけど、きっと地元ドイツでは、「やはり祭にはこのひと」というような存在で愛されてるんだろうなと感じていた。

あれだけの体格だったし、どう考えてもいろんな意味で不健康そうだったし、心臓発作と言われている死因にも驚かないところはある。それでもやはり、こうやって自分の人生になんらかの影響や痕跡を残した人間が、ひとりまたひとりと去っていくのは何とも言えない気持ちになる…。

こんな風に何かを書き残すことしかできないけれど。
R.I.P.