mixiミュージックってど〜よ?

サインインしてみたものの、プレミアム会員しか使えない(という優越感を利用した体のいいバグフィックス)期間だということで、まだ試せていない。
そんな状態で批評するというのもどうかと思うんだけど、mixiの中での評判も含めていろいろ読んでみたところ、このためにプレミアム登録したというひとがいたり、新しい機能にワクワクしているというようなユーザが多い印象を受けた。

先日、イギリスのLast.fmの日本語版がエキサイトとの提携でスタートするというニュースが飛び込んできたのと今回のちょっと準備不足の感もあるmixiミュージックのサービス開始とは、まったく無関係ではないと思うんだけども、Last.fmに代表されるような既存の音楽SNSと、今回のmixiミュージックが根本的に違うのは、やはり「音楽も単なる話の種」なのか、「音楽を聴く・探す・シェアする」ということが主眼となってるかだと思う。

このブログにもずいぶん前からLast.fmの機能を利用した、今僕がPC上で何を再生しているか表示するTickerを設置している。クリックするとLast.fmの個人ページに飛ぶんだけども、それら個人ページで統計として表示されるデータ自体はどれだけ音楽を聴いているヒトのものだって、他人が観察してそんなにおもしろいものじゃないと思うし、お隣さんとして趣味が似たようなユーザを表示してくれたりもするんだけど、そんなに活発に「オトモダチになりましょう」みたいな行為が行われてるとも思えない。ただ、世界規模の音楽好きが実際に日々聴いてるアーティスト・楽曲のデータがどんどん蓄積されていくというのはとても興味深いし、やはり最初のころはあんまり使えない印象だったCDDBが、いまやなくてはならないものに成長したように、いずれここに集積されるデータはとても有益なものになるっていう気持ちで、プライベートな情報を晒し続けているわけ。
で、やはり「FM」って名前なわけだし、このサービスの肝は、自分の趣味にあった番組が生成されて、ずっとリストを鍛えていくと、すごく好きなはずだけどまだ知らない曲がかかったり、自分だけのためのカスタムメイドな選曲をしてくれるという、ネットラジオ不毛の地・日本にいる人間にしたら夢のようなラジオの部分にある。日本版のLast.fmが、日本の楽曲の権利をきちんと処理して日本の曲もかかるようになるのかわからないが(たぶん無理だと予測)、単なる話の種、PVやサイトのトラフィックを増やすための誘因材料じゃなく、実際に音が聴けるというのは、全然感動も継続性も違う。
そんな側面をさらに強化したのが、アメリカのPandraというサービスで、こいつはMusic Genome Project、つまり音楽の要素を遺伝子的に解明するという研究が元になっていて、個人の音楽の趣味趣向を解析して、どんどん傾向の似た、きっとあなたが気に入りますよという曲を紹介してくれるブラウザベースのプログラム。一応、権利者との契約の都合でアメリカ在住者にしか提供しないという建前があるが、米国内に実在するZIPコードを入力すれば問題なく利用できる。いいなって曲が流れたらiTMSamazonで購入でき、また自分のStationを友達に教えて聴いてもらうこともできる。

やっぱり音が聴けて、音楽の需要が喚起され、売り上げUPにつながる潮流を作る。そこまでやって初めて音楽好きのコミュニケーション・ツールとして機能すると思うから、日本流のSNSのあり方を作ったmixiには、ちゃんと改良を重ねてそういうサービスに持っていってほしいと思う。

つうかね、腐れ日記でも低解像度の携帯で撮った写真でも、自分で何かしらアクションを起こして、まあ少しでも恥ずかしい思いをしてようやくコンテンツらしきものができていたこれまでのブログやSNSの内容と、ただ音楽データ再生するだけで、自動的にリストが作られいっちょあがりなものとは、結構な落差があるでしょ。そこまで楽して投げやりに生まれたものが「コミュニケーション」だとか笑っちゃうよね、という気もするし。

実際にたくさんのひとが使って、これがmixiユーザの総意ですみたいなランキングができたときに、意外におもしろかったねという裏切りをしてほしいとは思うんだけど。はてさて…。

Last.fm
http://www.last.fm/
Pandra
http://www.pandora.com/