個人メモ>06年後半の映画(テレビ・ビデオで見たもの)

自分用備忘メモ。
前半戦のPart 1はhttp://d.hatena.ne.jp/ken-go/20060521 に、Part 2はhttp://d.hatena.ne.jp/ken-go/20060806 にあります。

  • Mr.インクレディブル

この手のCGアニメは基本動物とかモンスターとか熱帯魚とかそういった玩具にしやすいものを擬人化してキャラに仕立てるというのが常道で、まぁそれは商売の観点からも正しいし、日本のアニメだって基本はオモチャを売るためのCMにすぎないという歴史がずっとあるわけだからそんなに変わらないのかなと思っていたので、すごくリアルに人間を描こうとしている部分がまずびっくりした。崩壊しかけた家族が一つの目的の下に結束して絆を取り戻すといういかにもアメリカンな縦軸と、徹底的にアメコミ的なヒーロー像と世界観をおちょくるという横軸が絶妙に絡みあって、立体的に楽しめる設計になってるのがすごい。死ぬまでにこーゆー作品を一本作れたらいいよなぁと思ったり。ただ、本来家族を示唆する題名だったものが、なぜかパパだけが主役みたいな邦題になってしまったのは不満。

Mr.インクレディブル
Mr.インクレディブル

公開時に即劇場へ行ったチャウ・シンチー好きから「正直つまらん」と聞いて、敬遠していた一本。確かに前作に比べると有り余る予算をどう使ったらいいのか悩んだ挙げ句、とにかく画面をキレイにしてすごい映像処理をばんばん使いました的な仕上がりになってしまったように感じた。金はないけどアイデアは湯水ほど湧いてきまっせというB級感が薄れたので、そこがいまいちな印象につながっているのか。前回が『キャプテン翼』なら今回は『ドラゴンボール』かなぁとバレバレなんだが、まぁ特にラストの強さがインフレを起こしてわけがわからなくなっていく辺りまでちゃんとなぞっている部分は拍手を送るべきところだろう。冗長さやくだらなさが許容範囲なら、楽しめる。

カンフーハッスル デラックス・コレターズ・エディション
カンフーハッスル デラックス・コレターズ・エディション

これを見てすごく思ったことは、人間が演技してる分にはまるで世界中がアメリカになってしまってるような世界を見せられてもそんなに違和感ないのに、こうやってすごくデフォルメされることで、そうやっておまえらのくだらねー尺度や価値観をほかに押しつけてくんなという怒りが湧いてくるっつーこと。デ・ニーロはじめ役者はなかなかいい味出してるのに、『ジャングル大帝』が大昔に間違って足を踏み入れたような似非ユートピア的発想はじめ、いくらこども向けとはいえ作品のテーマ自体も意味不明。

シャーク・テイル スペシャル・エディション
シャーク・テイル スペシャル・エディション

偶然テレビつけたらやっていて、なんとなく見てしまった。それで大昔、『ストレンジャー・ザン・パラダイス』が大好きで、何度も何度もビデオで見たことを急に思い出した。TVディナーのくだりとかさ。今日、『バッファロー'66』っていう大きっらいな映画がやっぱり偶然テレビでやってた。ギャロが家に帰って親と食卓で話してるシーン。全然思い入れないし、一度見たきりなのに、ああいう特に大きな筋のない映画の何気ない会話のシーンとか結構覚えてるのはなんでなんだろう。

コーヒー&シガレッツ
コーヒー&シガレッツ

かなりデタラメな映画。鳥肌実がいろんな意味ですごいのはまぁ当たり前だが、彼のことを詳細に知ってるひとの方が少ないと思うのでそこは“なんか変なヒト”という印象になるという前提で、市川美和子とユンソナ加賀まりこと…そういった周りを囲む女性たちを好きになれるかが、ノレるかどうかわかれるポイントになる映画かもしれない。最近は天才とか波瀾万丈とかより、どうしょうもなく平凡すぎる人間のほうに共感したり興味をひかれたりするので、そういう意味では楽しめた。細かいエピソードを積み重ねた淡々とした描写も悪くない。

タナカヒロシのすべて デラックス版
タナカヒロシのすべて デラックス版

今をときめく上野“のだめ”樹里である。しかも助演に蒼井優。そして監督は『時効警察』の三木聡で、スパイものなのだ。それだけ聞くとなんかものすごいメジャーなんではと勘違いしてしまいそうだ。が、その半端ない地味さ加減は期待を裏切らず、心から愛していると言いたいようなものじゃないんだけど、あんまり手間がかからないならずっとどこかに飼っていたいような作品だ。岩松了ふせえりという三木組になった感のあるふたりも、相変わらずあの変なノリでそこにいる。体調とテンポがあわなかったらたぶん全然だめだと思うが、僕にとっては三木作品では一番しっくりきた。

亀は意外と速く泳ぐ デラックス版
亀は意外と速く泳ぐ デラックス版

既にエピソード2の段階で、観る気を失っていた。なんかあののっぺりした画を延々観ていると、「どーだ、こんだけすごいCGがあればどんな世界も思いのままさ」としたり顔のおっさんにありがたくもないおとぎ話聞かされてるようで冷めてしまって。ラストとしてはそれなりに盛り上げたと思うんだけど、これが10年たって技術が思いっきり陳腐化されたときにもまだ楽しめるかというと、甚だ疑問。だから、逆にそのままでも十分楽しめる旧作にCGでどんどん手を入れてしまうという不安神経症的な方は、もう一度足下を見つめ直すか、いっそのこと技術屋として生きていただいたほうがいいんじゃないかと思う。家で観ても、きちんとしたハイビジョンのモニタとサラウンド環境でならそこそこ楽しめると、まぁそういう作品なんじゃないだろうか。

スター・ウォーズ エピソード3 / シスの復讐
スター・ウォーズ エピソード3 / シスの復讐


  • アイランド

設定はSFでよくある人体スペア用クローンものなんだけど、マイケル・ベイさんなので、折り返し地点まででSF的なサスペンスは終了して、ガンガン爆発したり車が飛んできたりするド派手アクションと化す。まぁアホだけれど、呆れるレベルにはぎりぎり行ってない。知的・ハイセンスを気取った編集やセットはどうかとも思うが、美術はすばらしいの一言。『スターウォーズ』のような張りぼて感はまったくない。あとはスティーヴ・ブシェミユアン・マクレガー。このふたりの、自分たちのメディアに肥大化されたイメージをなぞったような役柄と演技は笑う。


アイランド 特別版
アイランド 特別版

メゾン・ド・ヒミコ 特別版 (初回限定生産)
メゾン・ド・ヒミコ 特別版 (初回限定生産)

チャーリーとチョコレート工場
チャーリーとチョコレート工場

銀河ヒッチハイク・ガイド
銀河ヒッチハイク・ガイド

ALWAYS 三丁目の夕日 通常版
ALWAYS 三丁目の夕日 通常版

  • ミリオンズ

ポンドが廃止されユーロが導入されるという屈辱的なクリスマスの時季を迎えた架空のイギリスで、本来廃棄されるはずだった22万ポンド以上の札束をふとしたことから手にした幼い兄弟とその家族を巡るファンタジー。監督は、自分の子供に見せられる映画を撮りたかったというダニー・ボイル。やはりこれまでのゾンビやジャンキーが跋扈する作風とはかなり違い、人間の善意とはみたいな微妙なテーマを非常にキリスト教的なモチーフを大量に散りばめて描いていく。なので、表面的にはかわいい少年が一生懸命人助けをしようとする健気な物語にも見えるんだけど、その実、クリスマスやキリスト教にまつわるあれこれがさりげなくひとつずつ踏みにじられてるようにも見え、「いい話」を作ろうとしたけどもどーしても毒が回ってしまったのかもしれない。幼くして母親と死別したショックからか、聖人(Saint)オタクになってしまったダミアン(弟)は、しょっちゅう聖なんちゃらの幻覚を見るわけだけど、首を切り落とされたからと血まみれだったり、聖職者の格好なのにジョイントふかしていたりと、それらも結構ブラックなのだ。あと、たぶん舞台はマンチェスター近郊(何度か原発が写るのだが、Heysham原発か?)で、みなさんかなり訛りまくっているのでその辺もにんまりできます。そして、またしてもアンソニー・ダット・マンテルの撮影がすばらしいこと!
ミリオンズ スペシャル・エディション
ミリオンズ スペシャル・エディション

いやぁ、重すぎるなぁこれ……。『オールド・ボーイ』の近親相姦という主題にもついていけないものがあったんだけど、今回の我慢強く執念深い復讐劇も、発端から結末まであらゆる点で救いがなさすぎてなぁ…。監督のパク・チャヌクって、いったいどんなひとなんだろう。主演のイ・ヨンエと彼女を捉えた映像がいちいち美しすぎて、それもさらにこのお話の悲しさを増しているように思います。あ〜でも、悲惨な境遇の美しい女性の半生を凝った映像で見せた作品としては、例の『嫌われ松子…』より全然よかったな。
親切なクムジャさん プレミアム・エディション
親切なクムジャさん プレミアム・エディション

富豪にもらわれたみなしごが、持って生まれたカンフーの才能に有り余る金と暇を活かして仮面のスーパーヒロインとして超ハイテク・バイクを駆り悪を懲らしめるという、最近の仮面ライダーみたいな筋立て。アクションや爆発はかなりすごいんだけど、いかんせんチャイニーズ訛りのある英語での演技、それに一生懸命スタイリッシュに見せようとしてる画面作りやセットが逆に寒かったり…。『カンフーハッスル』にも同じような背景が出てきたけど、ここでも孤児院的な拳法学校(?)みたいな舞台で幼少時の主人公たちが出会うというエピソードがある。超貧乏な子供時代とかって、梶原一騎が好きそうな設定なんだけど、あっちでは今でもそーゆーのが琴線に触れるのか? よくわからん。あと、トヨタみたいな日本のハイテク企業が出てきて、そこの社長が岩城滉一なんだけど、思いっきり声を差し替えられてました(笑)。
シルバーホーク
シルバーホーク

かもめ食堂
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スーパーマン リターンズ
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