『ペルセポリス』でアイアンメイデンを聴きたくなる

本当はフランス語で観たかったんだけど……まちがいなく公開終了になってしまいそうだったからイラン生まれ在仏イラストレーターの自伝的なアニメーション『ペルセポリス』を英語で鑑賞@シネマライズ。ただ、英語版もショーン・ペンイギー・ポップというちょっと目を疑う声優陣、しかも演じてるキャラを考えると、かなりニンマリな配役なので、これはこれでありだったような。
モノクロームでフランス的な美意識が充満した画面の印象とは裏腹に、タフで骨太な内容は想像していたよりずっと悲しく、でも映画ならではの活力を備えていた。特に、音楽(ロック)が重要な役割を果たすこの作品においては、こういうカタチで映像化されたのはすごくよかったはずだ。FlashやAfterEffectsをかなり使ってるのか、クレジットにはたくさんのテクニシャンの名前が載っていて、単なる印象からほぼ個人作業的なアートフィルムを想像していたのでびっくりした。部分的には3DCGも使っているのかも。でも、そういうデジタルな感じをほとんどさせない味のある仕上がりは素晴らしく、なんというかアニメの可能性というようなものを感じさせられた。全然作風からなにから違うけど、湯浅政明の『ケモノヅメ』に受けたのと近いショックを。ががが〜〜んみたいな。
路上でヤバイロックやポップスのカセット密売してる売人が、まるでドラッグ・ディーラーのごとき仕草でぼそぼそと手持ちのネタ(アーティスト名)を連呼して、興味あったら値段交渉、そしてさっとあらぬ方向をみながらブツを受け渡しというシーケンスが最高に笑った。最初に移り住んだウィーンでは、ず〜っとハッパ吸ってるし。イラン政府がこの映画上映させまいとしたらしいけど、オーストリア政府も怒ってもいいんでは? ウィーンの若者は全員Weed Headみたいに見えるっつーの(笑)。