変わること変わらないこと

急に思い立ってYellowでやっていたデリック・メイのパーティーに足を運んだ。<WIRE>に奴が出たときもまともに聞いた記憶がないから本当にしばらくぶりのことになる。

最近はほとんどテクノ系のパーティーがなくなってしまったからYellowに行くの自体も久しぶり。たぶん、ガルニエを聴きに行って以来だと思う。金曜にはWOMBでイシイ君とやっていて、土曜はデリックの一人舞台だった。そんな理由もあってか激混みの収容所という印象が強かったYellowが空いている感じ。もちろんフロアは満杯なのだが、2階の踊り場とか階段とかは余裕があって逃げ場も確保されている。どこにいってもギュウギュウでドリンク買ったりトイレに行くのも苦痛というような惨状ではなかった。

Yellowの週末のハコ客は3時過ぎると引きはじめるから、6時過ぎまではやるだろうと見越して2時過ぎに到着。着いた直後はラテン系の(初期ベースメント・ジャックス的なベタベタの)ハウスが連発されていて、ん〜、『Mix-up』のころと変わってねーなぁと思う。WOMBにも行った友達の話だと、前日はもっとテクノばっかりという感じだったらしいので、ある種のサーヴィスだったのかもしれないが、デリックの好きなパーカッシヴ/ファンキー/エロティックという要素は、サンバには全部集約されているとも言えるので、あの男が腰を振りながらブースで回している限りあの手の音は鳴り続けるのかも。

3時を回ったころには徐々にキックの重い、メタリックな響きのテクノが増え始め、そのブレンド加減もいい塩梅になっていく。聞き始めの1時間くらいは正直「さすがに古く感じるところがあるなぁ…」と思ったりしたものの、上げ下げの激しいそのプレイにいつのまにかはめられているという。力業でねじ伏せられて気付いたら相手の得意な寝技に持ち込まれていた、みたいな。

6時も近くなると、キックのない曲が延々とかかったり派手な歌ものがかかったりというセグメント転換が増えて照明も全開になったり真っ暗になったり大忙し。特に日本のパーティーだと、何分間も踊れない曲がかかる状態は歓迎されない傾向が強いと思うが、「抜き」の部分でも盛り上げられるのはヴェテランならではのワザというべきか。朝になってもひとがあんまり減らなくて求心力の持続という意味ですごいなと思った。

フロアで会ったサードイヤーの友達によれば、プレイをまるごと5.1chで収録していて、本人が気に入ればリリースを提案するという話。カメラは回っていなかったようだから、DVDじゃなくてSACDとか、何かしら新しい媒体を考えてるのだろうか。5.1ch収録のDJミックスって世界初(?)かと思うので、上手く本人を説得してぜひリリースにこぎ着けて欲しいものだ。

昔はデトロイト系のイヴェントというと、腕組みにメガネのレーベルTシャツくんみたいなひとが相当数いたものだけど、この日はどっちかといえばWOMBあたりにいるような若い客が大半って印象で、当然ながらファン層も入れ替わっているのだと実感させられた。
しかしながら、相変わらずマッチョなボディーのデリックはもう40になったはずだけど、未だタンクトップだし(笑)。帰り際にブースまで行って挨拶したら「おい、もう何年も会ってなかったじゃないか。会うヤツみんなにあいつはどこだって訊いてたんだ。来てくれてありがとう!」とか大仰なコトを言って猛烈なハグをしてくれた。「もう帰る」と言ったら、「そう言うと思ったよ! なんてヤツだ!」ってまるで変わらないノリで。

日本を発つ前にメシでも喰おうって言ってたけど、絶対連絡来ない気がするヨ。
昔たくさん撮ってた写真、「送るよ」って一枚ももらった記憶ないし(笑)。