後出しジャンケン

世界のRPMが高すぎてついてけない感じです、ここ数日。
Winny開発者逮捕の件は、ふーんというくらいの感想しかなく、でもたぶん大騒ぎなんだろうなぁとか思いつつ流れてくる情報を横目にみていたんだけど、意外なほどにヒステリックな人のほうが多い印象を受けて、そっちのほうがびっくりした。

で、最近また熱さが急伸中(だからCOOLさが足りない、のかね)の音楽配信メモを読みに行ったら東浩紀VS切込隊長なトピックが紹介されていて両方の意見を読んだ。んー、切込隊長の15分で書いたというメタというかRPGな感じの論はかっちょいいな。こんなこと15分で書けるって超人的じゃねーかと。たまたま今晩食事の席でひろゆきの話題になって、秘密めいた未来構想とか聞いていたので余計にそう思う。

自分ではNapsterはどんなもんやろと試してみたものの、その後MXもWinnyも触ったことすらないから、それがどれほど革新的で便利なツールでありサーヴィスであるかなんてこれっぽっちもわかってない。ただ、CCCDの問題が最初に噴出したとき、どこに行ってもP2P原理主義者の暴論は飽きるほど読まされて辟易しつくしたので、またこれでそういう声を耳にするようになったのにはほとほとうんざり。そーゆーことを無知蒙昧のごとく言ってる連中(ほとんどはどこかで聞いたことの劣化コピーの繰り返しで生成された核のない妄想)がどういう生活を送ってるのかというのに興味があるんだけど、現代日本においては産業という言葉が意味をなさないような空洞化が進行してるんでしょうか。

んで、最近ずっと考えていたのは、警察が信用できないなんてことはいまに始まった事じゃないし、過去の事例から考えたってこういう結末は予測できただろうになんで逮捕ごときにそんなに大騒ぎするんだろうとゆーこと。金子とかいうひとが、ホントに警察が発表してるように著作権なんぞぶっつぶしてしまえという思想の元にWinnyを配布してそこで行われるだろう違法行為を扇動してたんだったら、同時にぜってーつかまらねーなんて確信(っつうか自分の技術への過信?)を持っていたなんて信じられないナイーヴさですよ。

以前誰かに、ジョニー・ロットンは全盛期にあれこれ理由をつけては毎日のようなスコットランド・ヤードの家庭訪問を受けて、それでほとほと嫌気がしたからアメリカ移住したんだって話を聞かされたことがあった。まぁそれで彼が後に“HAPPY”になったかどうかは知らないけど、腐りきって再結成のドサまわりやらかしてなお、「これは金のため」とか言い続けるバカさ加減で故郷の土を踏んだりしてるわけで、最高学府で国費もらって研究してるような頭脳持ってるお方ならなおさら、それくらいのリスクは計算に入れていてしかるべきなんじゃないのかと。短絡的なひとたちが言ってるような「包丁で殺人が起きたら製造者を逮捕するのか」とか「自動車事故が起きたらメーカーの経営者を裁くのか」なんて極論はぜーんぜん意味ないと思うし、誰かもっとましな論を張ってP2Pの可能性をおバカな僕にも見せて下さい。

パッケージ・メディアが消えるっていう方向性はありがたくもなんともない。そういう選択肢が用意されている世界というのはアリかもしれないが、まぁ産業側はあらゆる手段を使ってでもその浸透を遅らせる(か、あわよくば潰す)努力をするだろうし、それに失敗したとしても(たぶん、するんだろうけど)今度はどうにか水源のコントロールを握ろうとするはずだ(水はずっと循環するんだけど)。不謹慎な考え方かもしれないけど、大きな戦争みたいな世界規模の一斉リセットが起きないとこういう流れは変わらないのかもしれない。デジタル革命みたいなことが本来リセットを想定されていたようにも思うし、そんな意味では47氏が言ってたという一回著作権の概念をチャラにしてしまえという考え方にも納得する部分がある。実を言うと、最初にMacを触ったときにも、初めてネットサーフィンしたときも、これで世界が変わるかもしれないみたいなゾクゾク感は確実にあったわけで(現実には、ほとんどそういうゾクゾク感が実現されない形で世界は少しだけ変わった)。

東浩紀http://www.hirokiazuma.com/archives/000093.html
切込隊長http://kiri.jblog.org/archives/000696.html