ABCは知ってても…

青山ブックセンターが営業中止朝日新聞asahi.com

本店の「閉店のお知らせ」貼り紙と撤収の様子新文化オンライン)

ABCこと青山ブックセンターは、とってもゆかりのある本屋だった。
眠らない街六本木で朝までの深夜営業を始めたのは、特殊な環境だから成り立ったとは言え、後に“深夜にちょっと変わった人が集まる店”という業態を確立した三茶や恵比寿のTSUTAYAみたいな大型複合型店舗より全然先を行っていた。本以外のモノや店員のセンスで他ではプッシュされてない本を売るという商売では、ヴィレッジヴァンガードに先駆けたとも言える。
六本木で夜遊びをするときはあそこで待ち合わせをしたり、フラッと寄ると偶然知り合いに出くわすことも多かった。それに学生の頃はタクシー代をケチって、パーティが思いのほか早く終わってしまったとき始発待ちの時間つぶしなんかに使わせてもらったものだ。

国連大学裏の青山本店は、外苑前のele-king編集部から割と近かったから、95〜6年当時はよく通っていた記憶がある。確かABCは「青山」と名前が付くのに青山には店がないってことで作られた悲願の店舗だったと思う。
煮詰まると逃避に行ってたし、資料もたくさん買ったから、外苑前に通っていた時期だけで結構な額のお買い物したんじゃないかな。

最近は、近所にまともな書店がないから、駅前の自由が丘店に行くことが多かった。最近は写真集だのいわゆるアート系の本はほとんど買わなくなってしまったけど、マンガの品揃えはなかなか良かったし、こぢんまりした作りながら居心地のいい空間だった。

昔、友達の間で「深夜のABCで女の子と出会いたい!」「かわいい子が自分とバッチリ趣味の合う本を独りで読んでいたりしたら超萌える!」とか、そういう話で盛り上がったことがあって、実際そんな80年代のドラマみたいな出会いをしたというヤツもいたような気がするけども、もうそんなことは起きえないのかな。TSUTAYAで一本だけ残ったDVDを借りようとして指が触れ合って…って、やっぱなんか違う。TSUTAYAってもっとなんか殺伐としてる感じがするし。

ざくっと検索かけると、さっそく「書店なんかもう要らないじゃん、アマゾンだけで十分」みたいなおバカさんなエントリーしてるBLOGがたくさんあるみたいね。本気でそんなこと考えてるのかな? 結局自分もアマゾンで買う量が一番多くなってきてるから偉そうなこと言えた義理じゃないけども。あらゆるコンテンツの中で、本こそ手にとって買いたいものじゃないのかなぁ。