WIRE the day after

裏で見聞きしたちょっといい話のおすそわけ。

がっつりした体型で強面かなと思ったアンソニー・ローサーは、話してみるととっても気さくでカワイイという印象の強いひと。来日は二回目らしいけど、前回が散々だったとかでWIREすげぇ!ってやけに興奮してた。アルバム『Pop Killer』のヴィジュアルがすごくいいよね、壁紙も気に入ったから使ってるよという話をしたら、「アーティストは観客からリアクションもらえるけど、デザイナーはそういうのがないからすごく喜ぶと思う。帰ったら日本でこんな話をされたって伝えるよ」と。仲間思いのナイスガイ。

本人とは話さなかったんだけど、マルコ・ベイリーの彼女(兼マネージャー?)と話していて、QRコードの入った名刺を渡したら異常に興味を持っていた。新種のバーコードみたいなもので、日本だと携帯電話にリーダが付いていてカメラでパシャッとやると電話番号なんかが読み取れてアドレス帳に手入力しなくていいようになってるんだよって教えてあげたら、「すごいわ!」って言ってそこらにいるひと次々捕まえて説明を始めた。MBは確かファイナル・スクラッチ導入してたと思うけど、そんなアーティストは連れもハイテク・ジャンキー。

プレイ中のアクシデントで怪我して救急車で運ばれてしまったというウェストバム。二日目は結局会場に現れなかったので(当然か…)、ほとんど話せなかった。これからのパーティ・シーズン、仕事も詰まってるだろうしどうやって乗り切るのか心配だ。まだ元気だった出番前に、KAGAMIの新作「Machicago 8 Beat」のアナログを渡したらとっても喜んでくれて、「後でブースでチェックする」と言ってた。まぁほとんどのDJは、リップサービスでそういうことを言うけど実際にはあらかじめセットも決まっていたりするし、そんな面倒なことはしない。でも、後から聞いたら、ちゃんとかけてくれたんだって。感激。マメ&律儀、そんでテキトーそうに見えてDJに対し真摯な男。

オービタルの出番前に、彼らのサウンド・クルーというちゃらんぽらんな日本語を話す男がなんだか焦った様子で走って来て、KAGAMIをステージに連れて行く。リハーサル中に音を聞いていて、いたく感激したとかでふたりに紹介したいっていうことだった。たぶん、KAGAMIとそのクルー氏だけでは話にならないと思って、同行する。フィルとポールは相当真剣な面持ちで直前のチェックをしていたけど、終わると気さくに話に応じてくれて、KAGAMIがちゃっかり用意していたブラウン・アルバムにサインしていた。ちゃんと話したのは、10年前のオン・エアーでライヴしたとき以来じゃないかという感じがあるけど、「お〜、フロッグマン、まだやってたか! 頑張ってるね」と覚えていてくれて、なんかタイムスリップしたような感じ。その後のステージ、「ハルシオン」とか「チャイム」がしっかり用意されていて、スタンド席で震えながら堪能した。

エレンと談笑してたら、去年撮った写真をメールするって言ってたのに忘れていたことを思い出されて、怒られた。

ルークとはなぜか新宿のリキッド・ルームがなくなった話になって、「法律変わったの? 警察の取締り?」とか、まぁイギリスのひとだなぁという発想で延々経緯を説明させられた。結局、しばらく話しても要領を得ないって感じだったけど、あそこでプレイしたことのあるDJだったらやっぱりガッカリだよなぁ。みんなこぞってすごいサウンドとか素晴らしい雰囲気って絶賛したり、曲名にしたりしていたし。WIREに出るような連中にその噂が伝わってないのは意外だったけど、ルークの残念そうな反応を見ていると、やっぱり日本のシーンにとってすごい損失だったんじゃないかと改めて思う。

デロは英語があんまりわかんないのか相当な人見知りなのか、ほとんど話が噛み合わなくてちょっと困ってしまった。若そうだし気さくな感じを期待したんだけど…。逆に、自国ではトップDJだし大ベテランってことで、ちょっと緊張しながら話しかけたミシェル・デ・ヘイは、なんか相当くだけた感じでびっくり。「フロッグマン知ってるよ。昔好きなレコードあってかけてたよ」とか「プロモの感想絶対送るよ」とか言ってくれた。う〜ん、ジェントルマン。

あと、関係ないけどバッド・ボーイ・ビルのプレイ中、フロアでYO*Cが汗だくで踊ってるのを発見して、もう何年かぶりにそういうヤツの姿を見て嬉しくなってしばらく一緒に踊った。年に一回、WIREでしか会わない旧い友人や知り合いってたくさんいる気がするんだけど、そういう意味でも自分にとってのWIREって貴重な場だなと思う。忙しすぎて海外に遊びに行く機会がほとんどなくなっちゃった昨今は、海外のDJたちといっぺんに会えるということもあるし。もちろん、ベルリンやロンドンにわざわざ出向いて喜ばれるのとは全然違うんだけど、それでもお互いの近況を報告するとか旧友を温めるって意味で昔のLove Parade的な存在になってる。以前に瀧に言われた「なぁオレらまだドイツとかLove Paradeからもらったモノを返せてないんじゃねえ? 俺も最近全然行かなくなって、こっちからはなんもできてないと感じんだよね。そう思わねぇ?」って話を考えると、そこに甘えてるんじゃダメだなとは思うんだけど…。