スタジアムに響く太鼓

すっかり書いておくのを忘れていた。何日か前に急に思い立って、この日のJリーグ開幕戦を観に行くことにして、横浜のマリノス×ジュビロ戦か、浦和のレッズ×アントラーズ戦か散々迷った挙げ句、週末の大雪予報を見て「16時キックオフでは凍死するかも」と思って埼玉スタジアムに行くことにしたんだった。

Jリーグが始まったばかりの頃は、当時勤めていた会社がJのオフィシャルスポンサーだったこともあってよくタダ券をもらえたりして、その上サッカーネタの4コマまんがを担当していたんで「これは仕事だ!」とか言い訳をしながら試合観に行ってたんだけど、最近は時間もなくてスタジアムに足を運ぶなんて考えたこともなかったんだよね。かなり人気のあるチームの好カードだし、大混雑を予想して家をかなり早く出た。朝早く目覚ましセットして午前中に行楽に出かけるなんて何年振りだろう! 目黒から南北線(正確には途中からは直結してる埼玉高速鉄道)で終点まで乗っていけばいいだけなんで移動も楽だったし、途中までは車内もがらがらで拍子抜けするほど道中はラクチンだった。さすがに最寄りの浦和美園駅に着いたらかなりのひとなんだけど、逆にそこまで行って閑散としてたら気分も盛り上がらないよね。

途中で弁当と飲み物を買って、スタジアムに入ってからはビールも買って、奇跡的に晴れたほぼ満員の会場の中へ入っていくと既に応援合戦が始まっていて相当上がる。もう記憶のかなたに追いやられていたこと−−テレビ観戦と実際にスタジアムに行くのと一番の違いは、サポーターの応援の音の迫力じゃないか−−を思い出した。特にどこのチームのファンということもなく、ただいい試合が見たいってだけなのでどっちに肩入れするでもなく試合を見ていたのね。でも、自然と応援にあわせて身体が動いちゃうのは、基礎になるリズム隊がしっかりしてた鹿島の方で、太鼓が刻むリズムで身体を揺らしながら(寒いので動いてないとかなりやばいんだ…)、映画『ドラムライン』の感動的なマーチングバンドの演奏を思い出したりした。もはやトライバルと言えるような神業的なドラミングをジャンプ的なバトルとして楽しめる演出の中で描ききったこの作品は、リズムの魔力を信じるひとには絶対(できるだけいい音響のシステムで)見て欲しい一本なんだけど、そんな素晴らしい演奏じゃなくても緑の芝とスカッと抜けた空にドンドンと響き渡る生の太鼓やたくさんの人間の声の迫力というのは、それだけで感動できるモンなんだなぁと変なところで気持ちよくなっていた。試合の方は、正直パッとしない内容だった。でも、またスタジアムに行こうと思える、いろんな意味で楽しめた一日だった。代表戦も行きたいけど、チケット取れないよなぁ…。