モーガン・スパーロックと『黄金伝説』はどこが違うのか

WOWOWモーガン・スパーロックの『30DAYS』という全6話のテレビ・シリーズがはじまった。スパーロックと言えば、自分の身体を実験台に30日間マックでハンバーガーを食い続けてココロもカラダも蝕まれていくというドキュメンタリー『スーパーサイズ・ミー』で昨年話題になった人。そもそも、あれだけ話題になった映画でありながら、やはりマクドナルドという大広告主の手前地上波では放送できないという事情があるようで、映画自体もWOWWOWで放送、それにあわせたスパーロック祭といった趣のスペシャル企画が実現したということだ。
ちなみに、本国ではFOX系列のケーブル局FX Networkにて放送されたこの番組だが、すでにシーズン2の制作が決定。もちろん、スパーロック自身がすべてにチャレンジするわけではないとはいえ、毎回ちょこちょこと出演はしているし、どっちにしても1本作るのに絶対に1ヶ月以上かかるわけでかなり体力的にきついだろう。よくやるなぁ……というのが正直な感想ではある。見ている客はインスタントなんだけど、やってるほうはホント地道だと思うよ。特に、第一話「最低賃金で30日間」は、ガールフレンド巻き込んで、肉体労働で稼ぎながらの生活なんで、全然余裕ないしケンカするし病気になるし荒むし、大変です。それをまた、アカデミー賞に呼ばれた!って少しセレブな調子でハリウッドに出かけていくところからはじめるあたりがなんとも憎い。
深夜放送でやっていたころの『ココリコ黄金伝説』が結構好きで、「うなぎパイだけで一週間過ごす男」とか「羊の乳だけで一週間過ごす男」とか、今思い出してもあまりにもくだらなくて過酷。芸人魂溢れる番組だった。羊とか鶏とかになると、どっかの部屋でそれら家畜と同居して生きるために乳や卵をめぐんでもらうというむちゃくちゃ具合だった。もちろん、こっちは笑わせるためだけにやってるので問題提起もクソもないし、挑戦者の他の仕事に支障が出ることを考えたらどっかでズルしていたりするかもしれない。ただ、そういった目指す方向性の違いということよりも、徹底してバカをやることでしかこういう企画は通らないんじゃないかなという風に考えると、もしかしたらこの違いは国民性にまでつながるものだったりして、とか大げさに言ってみたくなる。
『黄金伝説』が深夜からゴールデンに移り、ココリコ自身は単なる司会になってしまって、番組の内容もどんどん過激さが削がれて見るも無惨な姿になっていったのと比べると、敬虔なクリスチャンがイスラム教体験を30日間とか、ホモフォビアの男がゲイと共同生活30日間とか、どんどん今後過激さが増しそうな『30DAYS』は、残りの放送がとても楽しみだ。できたら、メイキングやカットされたシーンを盛り込んだDVD-BOXを出してほしいところ。

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