英大手ディストリビューターPinnacleが倒産…
http://www.spiralearth.co.uk/news/story.asp?nid=2014
上記のUKの昨日のニュースにて。
先日の独Neutonどころの規模ではない、まさに衝撃的なニュース。
上記ページにもリンクがあるが、取扱レーベルは↓
http://www.pinnacle-entertainment.co.uk/labels_list.php
今お仕事をしているZTTも入ってるわけだ。その他、チェリー・レッドやエイベックス、コンポスト、DHR、エンペラー・ノートン、ワン・リトル・インディアン、OM、ミニストリー・オブ・サウンド…超有名処がいっぱい。
なんというか、音楽(とその情報)が手に入りにくいみたいな状況が近づきつつあるんじゃないのか? きちんとしたシステムなんてなくたってネットですぐに何でも手にはいるとか思ってる奴は勘違いしすぎ。
卸が倒れるとどうなるかっていう影響の大きさがわからないひとにわかりやすく説明すると、先にお金払って商品作って納品してさらに売るためにお金かけて宣伝してとやって、それを回収するための代金が払ってもらえないだけでなく、へたすると自分たちの商品そのものも戻ってこない。レーベルの規模が大きければ大きいほど痛手もでかいはず。
オフィシャル見ると、普通にクリスマス・モードになっててサイト自体も生きてるから、いきなり業務停止というわけじゃないみたいだけど、それがまた悲しさを倍増させる…よなあ。
Pinnacleの件、続報
CMU dailyという音楽業界誌みたいなものに載ってた記事が相当詳しく解説していた(英文こちらで読める)。
あまり詳しく知らなかったけど、Pinnacleは一度84年にもつぶれてWindsongという今の親会社に買われ、そこからディストリビューターとして成功したんだと。その後、ZOMBAに買われ、ZOMBAがBMGに買われて、最終的にはBMGの親会社のベルテルスマンが手放したかたちで今年初めに独立した会社に戻ったばっかりだったようだ。結果だけ見ると、業績不振なメジャーに切られたともとらえられるけど、夏前まではここまで深刻な状況になるとは誰も思ってなかっただろうし、ポジティヴな独立として積極的に動いていたようだし、やはり金融危機に端を発する不況に飲み込まれたかたちか。今、UKはクリスマスなのにとんでもなく物が売れなくて、8割引とかしても誰も買わないとか、そんなことになってるようです。
それで、この記事で初めて知ったが、Wollworths系のメジャーを扱っていたディストリビューターeUKもついこないだ倒産して、カナダの大手Fusion 3もスタッフ全員解雇して営業停止状態で倒産秒読みとか…。
まじでシャレになってない。100年に一度ってこういうことかと、たぶん来年はイヤでももっと実感してしまうんだろう。
Miss Kittin / Batbox (Nobody's Bizzness)
忙しいので、ミュージック・マガジンに書いた原稿でお茶を濁します。
原稿だからちゃんとしてるね↓↓↓↓↓(笑)。
唄って踊れるDJことキティン嬢の4年ぶりのアルバム。ハッカーやゴールデン・ボーイといったこれまでの相棒と比べると明らかに隙のない音の仕上がりで攻めてきたのは、名匠パスカル・ガブリエル。初期はホントにつぶやきかと感じたヘタウマ気味の歌も、いつのまにか堂々たるポップスの格調をまとっている。ラッパーかというくらい韻をふむ歌詞が面白いのは相変わらずだが、キッチュな魅力から離れた今作がどこまで詩情/私情を伝えうるだろうか。ただ、彼女の志向するエンターテイナー性や作品に物語性をもたせようという試みでは、このスリックな響きは好印象で、ときに女版デペッシュ・モード?みたいに聞こえる場面も。パスカルの得意技、ミドルテンポのブレークビーツものがいいのは当然として、ロック的なアプローチの3、5曲目がいいアクセントになっている。やはり、いくらオトナに変身しても破天荒なキャラをどこかで期待してるのですな。
つー感じで、個人的には前作『I-Com』のほうが好きでした。
決して失敗作というわけじゃないんだけど、ここまでポップによって普通に金のかかったプロダクション(逆に言えばひねりもクセもない)になっちゃうんだったら、普通のポップス聞いてればいいじゃんという気もするでしょ。
比べてもしょうがないけど、サントゴールドとかレディートロンとか、下手したらカイリーやパフュームすらライバルになってしまうというね。