mashed and salted

子供のころ、マッシュポテトっていうのがすりつぶしたジャガイモという英語(=mashed potato)そのまんまなんだって知ったときちょっと感動した。
スクランブルエッグ(=scrambled egg)とかローストビーフ(=roast beaf)とか普通に使うようなコトバで結構動詞が覚えられるなぁとか思って。中にはフライドポテト(英=chips、米=french flies)みたいな和製英語もあるから油断ならないんだけどさ。
なんで急にそんなことを思い出したかというと、昔世話になった某出版社の雑誌編集長やってるヒトから数年ぶりに電話かかってきて、「企画の持ち込みがあって、マッシュアップっていう音楽?が欧米で流行ってるらしくて…」というリサーチだった。なんだそりゃ。
仕方ないので延々30分くらい説明したんだけど、今さらマッシュアップかぁ…という感じ。ちょっとググってみたところでも日本語で5230件もヒットするのにね。まぁ実際に聴いてみないと意味不明な部分も多いんだと思うけど、有名曲を合体させてブート盤として出しちゃうっていう行為自体は大昔からあったわけだし、名前が付いたからちょっと騒がれたというだけのHYPEが、そんなメジャーなメディアの中にいるヒトまで動かしそうになってるってことにまず驚いた。つーか、そんなにネタないのか、日本の出版業界?!

マッシュアップ的なインスタントな「遊び」を頭から否定しちゃうと、深いところではDJカルチャーとかサンプリングまでも否定することとほぼ同義になってしまうわけだし、下世話なもの・一過性のものとして消えものとか地下流通の世界にとどまっている分には面白いと思う。ただ、度が過ぎるとレイヴが世界を救うみたいなうすら寒い誇大妄想と同じで、どうしょうもないものに成り下がると。
古くはジャネット・ジャクソンジョニ・ミッチェルをまんまループさせたりとか、最近だとビヨンセドナ・サマーを混入させたりという感じでそういう手法が超メジャーにまで影響を及ぼすということもあって、その域にまで達すると今度は豪華なレストランでシェフが腕によりをかけたゲテモノ料理を喰ってるような面白さがあるとは思うんだけどね。浦沢直樹の『20世紀少年』や『PLUTO』もジャンルは違うけど、そんな感じだし。

でもね、我が国じゃあ、そういうむちゃくちゃなものを拾い上げようなんて度量の広い成功者も遊び心のある会社もないわけで(反論するなら、どっか吉幾三の「俺ら東京さ行ぐだ*発禁ヴァージョン*」でも大々的に再発してみやがれ!)、そんなものを必死にプッシュするくらいなら、もっと他におもろいものがあるだろうと言ってやりたい。
こないだどっかで見た(&聴いた)「架空請求業者に半ば嫌がらせ的な電話をかけてそのやりとりを録音・再構成したFlashや曲」みたいなもののほうが、よっぽど時代性も創造性もセンスもあると思ったり。

そのサイトがどこにあったかは忘れた。自分で探してくり。