電安法再考

本日、民主党川内議員らが中心になって、電気用品安全法についての緊急集会があって、実際に困っているリサイクル店、中古家電店の店主や高橋健太郎さんからも発言があったそうです。4/1まであっというまに3週間とタイムリミットが刻々と迫ってきて、テレビでの報道も目につくようになってきた。まとめサイトから有志がキャプ&アップした動画にリンクが貼られているし、YouTubeでも該当部分の動画ファイルが続々と集まっている。もちろん、番組や出演者のスタンスの違いで斬り込み方に温度差はあるものの、時系列にそって見ていけばその論調の変化に気付くだろう。さすがにマスコミの報道でも、PSEで問題になるのがビンテージ楽器やオーディオだけではないし、そもそも経産省のやり方や姿勢に大きな問題があるのだということが、徐々に炙りだされている。

川内議員や、共産党の塩川議員の衆議院予算委員会での質疑応答をストリーミングで見た。のらりくらりごまかそうとしたり、とにかく詭弁だらけの経産省がいかにでたらめなことをやっているか、その答弁を聞いているだけでも実感できる。

もう一度整理しなおすと、電気用品安全法の問題には4つのレイヤーがある。

■法律自体の実効性に関する疑問
以前の電気用品取締法と比べたとき、国が検査→民間の自主検査となった(規制緩和)ため安全性が上がることは疑わしい。むしろ、耐震強度偽装問題のように、安全性が低下するのではないか。

■本来中古品は規制対象外だったのではないかという疑問
法律の条文自体には中古品を含むという文言はなく、法案が審議・可決された際も一切中古業界のことを考慮しなかった。また、昨年末に中古品販売チェーンから経産省への問い合わせをきっかけとして、大手2社に対してのみ中古品も対象となった際の影響を聞くアンケートを実施、年明けに「中古も含む」との回答、そして2月も半ばになってのサイト上での発表と、「5年間の周知期間を設けた」という大本営発表が嘘っぱちであることがすでに露呈。

■4月以降、中古品の販売が本当に規制された際の大きすぎる影響
これまでのリサイクル(リユース)市場がなくなるので、ゴミが大量に出る。30万以上という電気用品を扱う中古品業者のビジネスが立ちゆかなくなる。家電だけでなく、さまざまな業務に使用する高価な電気機器の価値がゼロになり、下取りによる買い換えや中古品による低リスクの開業も不可能になる。

■実施まで一ヶ月を切っても経産省からまともなガイドラインもなく先行き不透明
大量生産の大手メーカーはひとつの商品に対し一回の検査でいいとして、個別の品を仕入れるたび多大なコストと手間をかけて検査する中古販売が成立するのか。製造業者として申請して検査をすれば本当にPSEマークを付けられるのか。そうした際にPL法や商標法との兼ね合いはどうなるのか。販売ではなく長期レンタルもしくはリースとすればOKなのか。オークションなどで個人間の物品のやりとりであれば許されるのか。

これら全部に現段階で実感を持てるのは、やはり中古品販売業者だけかもしれないんだけども、ひとつひとつ冷静に検証すると、国民の誰ひとりとしてこれが実施されて受益しないと思うわけ。
実際問題、自分だけのことを考えるなら、買い換えサイクルの短いPC関係は対象外だし、電化製品は思いっきり気に入ったものを買って壊れるまで使いたい派だし、中古屋を営んでるわけでもないし、会社に減価償却を残した高価な電化製品があるわけでもなく、ほとんど影響はない。あるとしたら、もう303や909が買えなくなるのかよ!的な怒りぐらいで。

ただ、そういう個人的な視点に立つと、今度は風営法に悩まされ続けるクラブやクラブ・ミュージックのことも頭に浮かぶ。つまり、世界中どこの国を見たって、零時以降ディスコやクラブが営業できないなんて馬鹿げた法律のあるところはないし、そんなくだらない法のせいでホニャララ団とつきあったりK察にゴニョゴニョしたりしなきゃいけないという現実がある。アーティストだDJだとかもてはやされても生活を違法行為に依拠しなければならないひとたちがいるわけで、自分の愛した文化がそんな扱いでしか存在できないこの国はいったい何なんだと叫びたくもなる。パチンコだとかソープだとか、なんだかそういう究極的には違法なのにお上のお目こぼしをもらって、いろんな利権やいびつな構造やなんやかんやを孕んで存在してるってものがあって、「違法だとしても存在できてるんだから、いいんじゃない?」とか「ザル法で抜け穴ありそうじゃない」なんて簡単に思うことはやっぱりできないんだよね。

何度でも言うけど、電気用品安全法なんてお節介は、ホントに無用。

今からでも遅くないから、まとめサイトをすみからすみまで読んでみて。ひとりでも多くのひとがこの悪法を理解して、最悪のカタチで運用されることを阻止できるように。

http://www8.atwiki.jp/denkianzen/

全商連(全国商工団体連合会)の報告ページなどは、書かれていることが生々しくて、当初から危惧されていたことが現実になっていることがわかり、怒りがこみあげてきますね。