Dinky / May Be Later (Vakant)

May Be Later
May Be Later

チリのサンティアゴ出身のディンキーことアレハンドラ・イグレシアスはティーンの頃からチリのシーンに出入りして、ルシアーノ、リカルド・ヴィラロボス、アトム・ハートなどの現在ではスターとなったようなアーティストたちと出会っていた。その後はダンスを学ぶためにニューヨークへ行って、Body & SoulやTwiloといったハウスのパーティ/クラブに出入りしていたそうだ。このあと、9.11があってビザを更新できなくなり、ドイツへと向かう彼女だけど、この淡々とした変態チックなミニマル・アルバムの背景にそんなドラマが隠されていたとは知らなかった。
全然別人だと思っていた03年のアルバム『Black Cabaret』も持ってるんだけど、こっちはNY時代の経験をもしかしたらより色濃く反映させたようなエレクトロクラッシュなアルバム(歌ものばかり)で、単なるミニマリストではない多才な彼女の別の面を知りたいならこっちもおもしろいアルバムかもしれない。
『May Be Later』は、同郷のルシアーノやリカルドたちの先導する有機的で催眠的なディープ・ミニマルと呼応するようなゆるくもグルーヴィーな曲が山盛りで、しかもラテン音楽的な味付けが自然に施されているのがとてもいい。気品の中にも、どこか野生を秘めたようなアンビバレンスな魅力。しかも、それが美しいのだ。


Black Cabaret
Black Cabaret


1. Mi Amor
2. Mars Cello
3. Burdelia
4. Fademein
5. Seven 2 Seven
6. She Is Moving
7. Sunday Set
8. No Pressure
9. Mind